体験授業の際にアンケートを取るのですが、お悩み事の項目で多いのが、「学習習慣が身に付かない。」ということです。
何故、アンケートの質問に、この項目を盛り込んでいるのかというと、ご家庭での学習習慣や、学業に対する親御さんの姿勢を推察することができるからです。
実は、こんなことを言うと嫌われるのですが、学習習慣が身に付かない一番の元凶は、親の生活習慣にあります。
もちろん、お子さんの気質の問題もあるのですが、生活習慣は改善できるものです。
今回は、学習環境を整える4つのポイントと1つの心得についてお話ししたいと思います。
1.リビングに学習スペースをつくることについて
リビング学習は昔から言われていますし、私の著書の中でも紹介しています。
中学生までは、まだ、子どもです。リビング学習をさせる一番のメリットは、親とのコミュニケーションが取れる距離感で勉強ができ、子どもの情緒が安定して学習に集中できることです。
もう一つのメリットは、特に小学生に対しては有効なのですが、学習の進捗度や理解度チェックを親がすぐに行えることです。
おまけの効果としては、親の方が、「ちゃんと勉強しているのかしら。」と、いちいち勉強部屋を覗きに行く必要がないので、親のストレスがありません。
・学習スペースをきちんと確保する。ダイニングテーブルでも、ちゃぶ台でも大丈夫です。
・テキスト・ノート・参考種・辞書・筆記用具などを収納しておく家具を準備する。カラーボックスなどで良いと思います。
・テレビやゲームは、やるべき内容を終えてから。勉強は、時間で決めずに、学習内容で決めます。学習目標を決めずに、30分という時間だけ決めたら、ボーっと30分机に向かっておしまいです。
2.テレビやゲームについて
親からすれば、昼間働いてきているのだから、夜くらいゆっくりくつろがせて欲しい、と考えるのは自然なことです。
でも、子どもは、昼間は学校、夕方からは塾、更に家庭でも学習させようということですから、これは大変なことなのです。
それなのに、親がビール片手にテレビを見て、子どもには、「自分の部屋で勉強しろ。」と言ったら、子どもは、「大人はずるい」と感じます。だから、親の言うことも聞かなくなります。
当然、学習意欲は無くなりますから、学習効果が薄れて成績が上がらなくなります。
子どもは、お父さんが社会で頑張っている姿を見ることはできません。だから、少しだけで良いので、家で読書をする姿や自己研鑽している姿を見せて、『人生は、生涯、学習である。』ということを、教えてあげてください。
子どもに勉強してほしいと考えるならば、環境を整えてあげてください。子どもにだけ勉強することを強いるのは、どう考えても不公平です。受験が終わるまでは家族で協力してください。
それが出来ないのなら、子どもを責めたり、塾に預けっぱなしにしないこと!
3.読書について
「本を読まない。」と聞くことがありますが、子どもが読書をしない原因は、実は親の責任です。
親の活字離れは深刻です。最近では、新聞を取っていない家庭も多いので、当塾では小学生に新聞をプリントして読ませています。
さらに言えば、マンガやゲームといった、刺激の強いものを子どもに買い与えておいて、子どもに「読書をしろ」というのは、非常にシッカリとした生活習慣が必要となってきます。でも、ほとんどのご家庭で、これが出来ていない。
それでは、「図鑑や歴史マンガでも用意しましょうか。」という話になるのですが。とりあえず、子どもが興味を持ったものは買い与えてください。また、興味を持ってほしいものは、それとなく用意しておいて、日常的に手の届くところに置いてあげてください。強制は逆効果です。
また、語彙力を高めるようなドリルに小さいころから取組んでいると、おもしろがって勉強して、メキメキ日本語力が高まります。
実は、本を読みたくないのは、読んでも言葉の意味が分からないからなのです。
我が家の子どもたちは、小学生低学年のうちに、小学生用の国語辞典の内容ぐらいは頭に入っている状態になっていました。だから、勉強していてもテキストの内容がキチンと理解できるので、学力はドンドン伸びます。
4.日本地図をトイレに貼る
我が家のトイレには、毎年新しいカレンダー付きの日本地図が張られます。
だからと言って、トイレが長くなるのではないのです。
子どもが小さいころに幼児教育の一環として張っていたものが、習慣になってしまっているのですが、結局は、家中がどこでも学習環境であるということです。
5.子どもへの接し方について、親の心得
一番肝心なことは、精神的な学習環境を整えることです。
「はやく勉強しなさい」とか、「これじゃ合格なんてとても無理ね」などと言っていませんか。
でも、多くの親は、自分が子どもだった頃のことを忘れてしまっています。
自身が子どもだった頃、親から「勉強しなさい」と言われて、やる気が満ち溢れて来たという経験をしたことがありますか。
むしろ、かえってやる気を削がれて、「今やろうと思ってたのに。やる気なくなった。」などと言い返していたのではないでしょうか。
人は、皆、同じなのです。
まず、何でもちょっとしたことを褒めてあげてください。
「自分で起きてエライ!」、「計算問題全部出来てスゴイ!」
心理学的に言うと、人間には常に『承認欲求』というものを持っています。
誰かから認めてもらいたいと思って日々生きているのです。大人でも、そうですよね。
子どものヤル気のスイッチは、自分自身で押してもらわないといけません。人が無理やりスイッチを押しても、すぐに戻ってしまいます。
子どもが自分自身でスイッチを押すことが出来るのは、実は、この『承認欲求』を満たされているからなのですが、同時に、勉強ができる子どもは、『自己肯定力』も強いのです。
「自分にはできる!」と思えるから、勝手にスイッチが入ります。自分自身で、スイッチを押せるのです。
逆に、勉強のできない子どもは、『自己肯定力』が低い子どもです。
それは、親が、子どもの『承認欲求』を無視して、『自己肯定力』を下げてしまっているのです。
子どものヤル気を引き出す環境づくりには、ご家族の協力は欠かせません。
さて、当塾では、『親が学習環境を悪化させておいて、塾に尻拭いをさせる。』、そういうご家庭は、お断りしています。
塾は、所詮、週2コマか3コマ。時間にして3~4時間です。これだけのことで勉強ができるようになるなら世話はありません。
塾に来て学力が上がる子どもというのは、勉強はしているが適切な指導者に巡り合っていない場合なのです。そのような子どもは、アッと言う間に成績が上がります。
当塾では、ご家庭と協力して学習環境の改善をしています。自習室を有効に利用することとの相乗効果で、学習効果が改善していきますので、ご興味のある方はご相談ください。