大手予備校では、2月の初めから新学期の既卒生(浪人生)の受付を開始します。
下位校の入試が始まる1月から国立の後期がある3月中旬まで、大学を一般入試で受験する生徒はこの期間中に日程をやり繰りして志望校を受験します。
予備校としては、すべての入試が終わってから新学期の募集をしても遅いので、宣伝告知も考慮して2月から受付を開始します。流石に、2月からデカデカと駅などに広告を張り出すわけにもいきませんから、この時点では受験生に対する応援メッセージを流して認知度を高めることになります。
2月から代々木にある本部校舎のエントランスで進学相談をしていると、1日に何組(友達連れや親子連れもいるので)かの相談に乗ります。短い相談でも30分、長いと1時間以上にも及びます。相談に来る方は皆真剣ですから、こちらも中途半端に話を終わらせることはしません。まさに、『親身の指導』を実践していたわけです。当時は、一浪してでも上位の大学に入りたいという生徒で賑わい、上を目指す生徒は皆さん積極的でした。
私立志望の生徒の話を聞くと、殆どの男子生徒が判で押したように「早慶クラスに入りたい。」と言います。親にも頼らず自分で予備校に足を運んで相談しにくる生徒ですから、志も高く話す内容もしっかりしています。逆に、女子生徒は親御さんと一緒に来るケースが多く、どうして良いか分からないと言った話が多かったですね。
今は、草食系男子、肉食系女子などと言われますので、逆のパターンも有るかもしれませんが。。。
さて、今回は1人の男子生徒の話をしたいと思います。
その男子生徒は、「早慶に入りたいが、余分な科目は受けたくないので単科を組み合わせたい。」と言ってきました。通常、早慶レベルを希望する生徒のためには、「早慶クラス」や「早慶上智クラス」が総合コースとして用意されています。総合コースには英語だけでも長文読解・英作文など複数の科目が組まれていますが、彼が求めていたことというのは、英語で言えば長文読解だけ受講して文法と英作文は自分で勉強したいということになります。
予備校が総合コースを設定するには、それなりの理由があります。
1.学校法人として認可を受けるためには必要な単位数を受講させる必要があります。
このお蔭で、既卒生には学割の定期が適応されるわけです。
2.大学受験には多角的な学力が求められます。
総合コースには、そのレベルに応じて適正な陣営が組まれているはずです。
予備校としては、テキストと指定参考書だけで大学に合格させる自信があるわけです。
私自身、自分がS台予備学校で浪人していた時に一講座だけ受講しなかった講義がありましたが、それ以外は全部真面目に受講できました。総合コースとは、予備校の威信をかけた『商品』なんです。
そこで、私は彼に何と答えたでしょうか?
「君の勉強方法が悪かったから受験に失敗したということを素直に認めなさい。
予備校は受験知識を詰め込むところではありません。
その科目に適した学習法や試験問題に対処する考え方を教えるところです。
だから、皆さん高いお金を払って通ってくるんですよ。
君には、早慶の総合コースを受講することをお勧めします。」
これは、かなりキツイ一言ですよ。
本来はお客様である生徒にこんなことを言うのですから、こちらも本気です。
流石に私の真剣さが伝わったのでしょう。彼は総合コースの受講を検討しました。
受験勉強をしてこなかった生徒は論外ですが、
「自分はやればデキる。」というのは言い訳にしかなりません。
そういう生徒に限って、受験勉強を『勉強時間』で論じます。
受験勉強には、『正しいアプローチ』と『正しい努力』が必要です。
これから浪人しようと決意した諸君に告ぐ、
1.勉強方法が悪かったから受験に失敗したという事実を直視すること
2.その科目に適した学習法や試験問題に対処する考え方を学ぶこと
かつて、英語の神様、伊藤和夫先生が言われた通り、単語や熟語などの知識に関することは自分自身で覚えることです。これはプロに頼る領域ではありません。プロに教えを乞うべきところは、何度も言いますが、その科目に適した学習法や試験問題に対処する考え方です。
実際、何年浪人しても同じ大学にしか受からない生徒がいます。
彼は、その科目に適した学習法や試験問題に対処する考え方を知らないのです。
だから、ワンランク上の大学を目指す準備が出来ていないのです。
トップレベルの大学受験に必要なのは知識だけではありません。それは、出来て当たり前。
身に付けたすべての知識を総動員して試験問題へ対処する考え方を問われるのです。
GOOD LUCK !
